【データから見る地域ランキング】  時事通信社 2013年12月 配信

 

「すし王国」 を探せ!

 寿司といえば、個人経営の店で食べる高級品というイメージがあるが、近年は回転ずし店や持ち帰り(弁当)の専門店も増え、リーズナブルな価格で味わえるようになった。 そこで今回は、二つの指標から「すし王国」を探した。

 まずは、経済センサス(12年2月現在)と推計人口(12年10月1日現在)を基に、都道府県ごとにすし店を算出した。

 すると、人口10万人当たりのすし店数は、山梨が33.9店で1位。以下、石川(32.1店)、東京(28.8店)、静岡(24.4店)、北海道(24.0店)という順で、海のない山梨が全国トップなのだ。

 何故なのか。山梨県立博物館(笛吹市)の植月学学芸員は「江戸時代の文献にすでに甲斐国(山梨)にはすし店が多いと書かれていました」と語り、すし店が多い理由をこう説明する。

 「内陸の不利な条件ですし屋が多いのは意外に思われるかもしれません。しかし、幕末から明治ごろのすしは、生のネタをそのまま載せることはなく、いずれも塩ゆでする、酢でしめる、しょうゆに漬ける(ヅケ)など、『一仕事』するのが普通でした。すしはちょっとした保存食だったのです。山梨のように早くても水揚げから一晩はかかる土地では、すしは魚を生に近い形で持たせ、賞味できる料理として好まれてきたのでしょう」

 すし店が多いのには、歴史的、地理的な背景があるというのだ。そういえば、山梨の特産品「アワビの煮貝」も、海産物を保存するために生まれたものだ。「海のない山梨で、海産物はごちそうだった」(植月学芸員)という説明は非常に説得力がある。

 

 もう一つの指標も見よう。 総務省の家計調査(2人以上の世帯、県庁所在市および政令市別、10〜12年平均)で、すし(外食)を調べた。すると、1世帯当たりの年間支出額が最も多い都市は岐阜で1万9293円。以下、金沢(1万8199円)、宇都宮(1万7818円)、名古屋(1万6929円)、鹿児島(1万6081円)という順で続く。ちなみに、「すし店密度」で日本一だった山梨の県庁所在市、甲府は11位である。

 さて、岐阜市民がすし好きなのは何故なのか。 岐阜県鮨商生活衛生同業組合の牧野義春専務理事は、「市民の外食好き」をその理由に挙げる。それは、前出の家計調査で岐阜はすし以外にも和食、中華で1位、洋食は2位になっているからだ。そもそも「岐阜市民はすしに限らず外食が好き」というのである。それを裏付けるように、家計調査で外食費を見ても、岐阜は20万7780円で、東京都区部についで全国2位となっている。

 では、なぜ岐阜市民は外食が好きなのか。

 「岐阜市民にとって外食は娯楽の延長なのですね。家族とか嫁いだ娘、孫などが集まれば、家で料理を作るのではなく、外食を皆で楽しむのが一般的です」(前出・牧野専務理事)

 以前、本欄で喫茶代を取り上げたことがあったが(11年3月24日付「喫茶日本一」に輝く意外な街)、そのときも岐阜市は上位だった。外食文化が暮らしに根付いているということなのだろう。

 一方、弁当のすしはどうか。家計調査の「すし(弁当)」を、外食のすしと同じように3年平均で計算した。すると、名古屋が1万5221円で1位。以下、静岡、大津、金沢、浜松という順になる。ちなみに、外食好きの岐阜は26位。弁当のすしはあまり好まないようだ。

 では、すしの外食と弁当を合計したら、どうなるか。すると、金沢が3万2851円で全国トップ。以下、名古屋、岐阜、浜松、宇都宮という順で続く。前出のいろいろな指標で上位にちょこちょこ顔を出していた金沢が、ここで一気に存在感を増す。

 日本には「すし王国」が少なくとも3〜4カ所はあると見てよさそうだ。

 

フリーライター(花崎真也) 時事通信社 配信記事 2013,12月

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